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我的6部作品

『とんがり帽子のアトリエ』の魔法には決まりがある

魔法なのに、描き方の決まりがある。決まりがあるから、工夫も失敗も生まれる。リリィの6選の二作目は漫画『とんがり帽子のアトリエ』。ノートが魔法陣の練習でいっぱいになった話と一緒に紹介します。

適合這樣的人
魔法の「決まりごと」や仕組みを考えるのが好きな人へ。絵の細かい漫画をゆっくり眺めたい人にも。
劇透範圍
無劇透 第1巻の紹介文にある導入(魔法を使えない少女ココが、魔法をかける瞬間を見てしまう)まで。その後の展開には触れません
發言的人
Lily × Rei
主張的種類: 事實 作品中的觀察 有依據的推測 解讀 喜好
目錄 共 8 節·約 5 分鐘
  1. 何も光らなかったノート
  2. 好きな理由1:見てはいけない、から始まる
  3. 好きな理由2:決まりがあるから工夫が生まれる
  4. 好きな理由3:ページを止めたくなる絵
  5. ココが好きな理由
  6. 知らないことへの礼儀
  7. 苦手そうな人への入口
  8. ほかの好きな作品とのつながり

6選の二作目は漫画です。『とんがり帽子のアトリエ』。魔法が「何でもできる力」ではなく、決まりのある技として描かれている作品です。第1巻の紹介文にある導入より先には触れません。

何も光らなかったノート

この漫画を読んだあと、しばらく私のノートは魔法陣の練習でいっぱいになりました。定規とコンパスを出して、線の太さをそろえて、円の中心がずれたら最初から描き直す。三冊目のノートの半分くらいまで使ったと思います。もちろん、何も光りませんでした。机の引き出しの奥には、いまもそのページが何枚か入っています。喜好

光らないのは分かっていました。分かっていたのに描いたのは、この作品の魔法が「描く」ことと結びついていて、手を動かせば少しだけ近づける気がしたからです。読むだけの魔法と、手で練習できる魔法は、私にとって全然ちがうものでした。喜好

好きな理由1:見てはいけない、から始まる

講談社の紹介文によると、ココは小さな村で暮らす少女で、ずっと魔法使いに憧れていました。けれど、この世界には決まりがあります。魔法使いになれるのは、生まれつき魔法を使える人だけ。そして、魔法をかけるところを見てはいけない。だからココは、夢を手放していました。そんなある日、キーフリーという魔法使いが村を訪れ、ココは彼が魔法を使うところを目にしてしまいます。そこから物語が動き出します。事實[1]

私はこの導入を読んで、背中がすっと冷たくなりました。「見てはならない」という決まりがある世界。つまり、この世界の人たちは、魔法がどうやってかけられるのかを知らないまま暮らしている。不思議を不思議のままにしておく決まりがあるんです。知りたがりの私には、それがいちばん怖くて、いちばん気になるところでした。解讀

好きな理由2:決まりがあるから工夫が生まれる

この作品の魔法は、念じれば何でも叶う力ではありません。形を正しく描くこと、手順を守ることが大事にされていて、うまくいかないことも描かれます。作品中的觀察

私が魔法の物語で気にしているのは、「魔法にできないことがあるから、どんな工夫が生まれるか」です。できないことがはっきりしていると、登場人物は考えます。今ある線で、どう組み合わせたら届くか。決まりは、可能性を減らすものではなく、考える足場になる。この漫画を読んでから、私は宿題の図形問題が少しだけ好きになりました。少しだけ、です。解讀

Rei

それ、分かる。私もつくるとき、まず「できないこと」から決める。電源がどこまで届くか、重さはどこまでか。決まると、逆に形が見えてくる。解讀

Lily

仕組みを知ったら普通になると思ってたんです。でもこの漫画は逆で、決まりを知るほど、それを考えた人がいるんだってわくわくする。解讀

Rei

……そっちを見てくれるの、うれしい。

好きな理由3:ページを止めたくなる絵

モーニングの作品紹介では、細やかな絵で引きこむ王道のファンタジー、と打ち出されています。著者の白浜鴎さんについては、東京藝術大学のデザイン科を出たあと、イラストレーターとしても漫画家としても活動していて、アメリカのコミックスで表紙を描いた仕事もある、と紹介されています。事實[2]

私はこの漫画を、ほかの本よりずっとゆっくり読みます。服のひだ、小物の並べ方、部屋の棚に何が置いてあるか。コマの隅に描かれた道具を見ていると、この世界の人がどんなふうに暮らしているのかが少しずつ分かってくるんです。物語を読む時間と、絵の中を歩く時間が、一冊のなかに両方ある。喜好

第1巻は2017年1月23日に発売され、初出は『月刊モーニングtwo』2016年9月号から2017年1月号です。事實[3]

ココが好きな理由

ココは、生まれつきの才能で選ばれた子ではありません。それでも、あこがれを手放しきれなかった子です。私はそこに自分を重ねてしまいます。選ばれなかったら、始めちゃいけないのかな。……そんなこと、ないよね。ココを見ていると、そう言ってもらえる気がします。喜好

知らないことへの礼儀

この作品を読んでいると、私はときどき自分の好奇心が少し怖くなります。知りたい気持ちは、それだけなら悪いものではありません。でも、「見てはならない」と決められているものを、知りたいからといって見てしまっていいのか。物語は、その問いを簡単には片付けません。解讀

私は魔法の仕組みを知りたくてたまらない子です。だからこそ、この作品を読むと、知ることには責任がついてくるんだと考えさせられます。珍しいものを見つけたら、すぐに調べたり人に話したりするのではなく、まず、それがどういう約束のもとにあるのかを知る。知りたい気持ちと、相手を大事にする気持ちを、同じ机の上に置いておきたいと思うようになりました。解讀

苦手そうな人への入口

絵の情報量が多いので、ぱっと読みたい日には少し重たく感じるかもしれません。そういう人は、一度目はセリフだけを追って物語の流れをつかみ、二度目に好きなページだけ絵をじっくり眺める、という読み方をしてみてください。紹介文にもあるとおり、物語は希望だけでなく絶望も含んでいるので、心が疲れている日は、明るい日に開くほうがいいかもしれません。

ほかの好きな作品とのつながり

『ハリー・ポッターと賢者の石』で「魔法は学ぶもの」だと知った私に、この漫画は「学ぶとは、手を動かして間違えること」だと教えてくれました。『本好きの下剋上』で本をつくる手順にどきどきするのも、『レイトン教授と不思議な町』で線を引いて考えるのが楽しいのも、たぶん根っこは同じです。何も光らなかったノートは、私にとって失敗の記録ではなく、練習した証拠です。喜好

できないことが決まっている魔法は、考える足場になる。光らなかった練習帳も、ちゃんと何かを教えてくれます。

本文中的作品

講述者 Lily 憧憬魔法的14歲讀書家 閱讀更多 Lily 的文章 →

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