ゴウだ。『SAMURAI 7』の二周目の話をする。全26話を観た人向けだ。元の映画『七人の侍』の結末にも触れる。展開にかかわるところは畳んである。聞き手は竜山先生。俺に元の映画を勧めてくださった方だ。
二周目を始める前に
制作会社GONZOの作品紹介を読むと、村は、米を腹いっぱい食わせると約束すればサムライが雇えるはずだと考え、代表を街へ送り出す。SFの冒険活劇で、下敷きは黒澤明の代表作「七人の侍」。そこに思い切って手を入れている。TVシリーズは全26話で、2004年6月から12月にかけて放送された。事實[1]
先生、本日はお時間をいただき、ありがとうございます。二周目を観終えましたので、ご報告にうかがいました。
ははは、報告はいらんと言うたじゃろう。まあ、茶を飲みなされ。で、二周目は何を見た。
はい。一周目は、誰が残るかばかり追っておりました。二周目は、最初の数分と、各話の題名と、カンベエ殿が勝ち負けをどう数えるかを見ておりました。喜好
第一話の冒頭に刻まれた文字
第一話の始まり。カンベエとシチロージの乗る戦闘艇(斬艦刀)に、「イツモフタリデ」と刻まれている。彫ったのはシチロージだ。事實[2]
ほう、そんなところに字があったか。俺は一回目では気づかなんだ。
俺も一周目は、戦の派手さに目を取られておりました。二周目は、刻まれた文字のほうが、刀より長く画面に残りました。作品中的觀察
結局·真相結末點擊展開
都を倒したあと、カンベエは刀をカツシロウに託し、シチロージを連れてカンナ村を去る。第一話の冒頭に刻まれていた「イツモフタリデ」の文字が、最終話の去り際でそのまま果たされているように見える。俺は、約束はこういう形でいい、と思った。解讀[2]
ご冗談をという口癖
第三話の題名は「ご冗談を!」。これは片山ゴロベエの口癖で、ゴロベエはカンベエが腕を買って二人目に誘ったサムライだ。大道芸で食いつないでいた、見切りの達人でもある。事實[2]
結局·真相中盤の展開(第十六話)點擊展開
第十六話の題名は「死す!」。撃たれた鉄砲を、ゴロベエは一度は見切ってよける。ところが二発目がそばに落ちて、その爆発にのまれる。カンベエが「命、買い受けた」と声をかけると、ゴロベエは「ご冗…談を…」と答えて息を引き取る。七人のうち、最初の戦死者だった。二周目に第三話を観ると、初めて聞く口癖が、最後の言葉の予告として聞こえる。笑いながら言える者は、最後まで笑って言う。解讀[2]
……口癖を最後まで曲げん男は、俺は好きじゃ。喜好
第一話の戦場にいた者たち
野伏せりは機械のサムライだ。正体は、もとは侍だった者たち。戦の時代が終わると、世の中を動かす力は商人の手に移った。侍たちは群れをつくり、新しい主君に仕える道を選んだ。その成れの果てだとされる。雷電や紅蜘蛛の装備は、第一話の冒頭、大戦の場面でもう出てきている。事實[2]
二周目に第一話を観ると、空で戦っている者たちの中に、のちに村を襲う側になる者と、村を守る側になる者が、同じ戦場にいたことが分かります。一周目は、敵と味方がはっきり分かれた話だと思っておりました。解讀
旧大戦のとき、ゴロベエはカンベエの敵側の陣営に属していた。ただし二人とも、そのことには気づいていない、という設定もある。事實[2]
戦が終われば、敵も味方も同じ浪人じゃ。どこに立つかは、終わってから自分で決める。解讀
米の味が分かる男
林田ヘイハチは三人目のサムライ。場を明るくする男で、顔にはいつも無邪気な笑いがある。その笑いが消えるのは、怒ったときだ。ふだん閉じている目が開き、声から抑揚がなくなって、聞く者がぞっとする口ぶりになる。米が大好きで、米の産地も水の質も当てられるという。事實[2]
米で雇われる話で、米の味が分かる男が仲間にいる。一周目は笑いどころだと思っておりました。二周目は、ヘイハチが米を口にする場面のたびに、報酬の米がこの男にとって何なのかを考えておりました。解讀
結局·真相終盤の展開(第二十五話)點擊展開
第二十五話。都の天守閣を切り離そうと、ヘイハチは爆弾を仕掛ける。だが撃たれて傷を負い、起爆スイッチは自分の手で押すことになる。米が食いたい、と叫んで、ヘイハチは都の主機関もろとも落ちていく。二周目に序盤の米の場面を観ると、報酬だったはずの米が、最後には一人の男の願いそのものになっている。解讀[2]
腹いっぱい食わせると約束して雇うたんじゃ。俺は、雇うた側の村の者の顔も見てしまう。解讀
家系図という約束
キクチヨは、豪腕で大刀を振るう機械のサムライだ。はじめは七人に数えられていない。二周目は、キクチヨが侍らしさを言い張る場面ほど、声の裏を聴いた。作品中的觀察
中段為止中盤の展開點擊展開
キクチヨは百姓出身の機械のサムライで、村での裏切りをかばう際に自分が百姓の出であることを打ち明け、七人目として認められる。二周目に序盤を観ると、侍だと言い張る大声は、侍に憧れた百姓の声として聞こえてくる。解讀[2]
結局·真相結末に向かう展開(第二十四話から最終話)點擊展開
第二十四話「契る!」。キクチヨは、戦から必ず生きて戻るとコマチに誓う。約束の印として渡したのは、拾った家系図だ。キクチヨにとっては侍である証だった。最終話、コマチはその家系図を返そうと、キクチヨのもとへ向かう。そこに残っていたのは、地面に突き立ったままの両足だけだった。一歩も退かずに果てた。両足がそれを語っていた。二周目に第二十四話を観ると、家系図を渡す手が震えているかどうかを、俺は確かめずにいられなかった。拾った家系図で侍を名乗った男が、最後に守ったのは、家系図ではなく村だった。解讀[2]
……先生。約束というものの重さは、どこで量ればよいのでしょうか。
量るもんではない。守る順番を自分で決めた者は、言葉より足で示す。……お前さんは、そういうのに弱いのう。解讀
負け戦の数え方
島田カンベエは多くの戦場を渡った経験を持つが、参加した戦は負け戦ばかりだとされる。はじめに村の話を断る理由も、負け戦だった。事實[2]
結局·真相結末點擊展開
最終話の題名は「植える!」。都には勝った。それでもカンベエに言わせると、この戦もまた負け戦だった。第一話の題名は「斬る!」。二周目に題名を順に読むと、斬る者の話が、植える者の話に手渡されて終わる。解讀[2]
結局·真相元の映画『七人の侍』の結末點擊展開
元になった映画『七人の侍』は、こう終わる。笛と太鼓に合わせて、村人たちが田植えに精を出している。その横で勘兵衛が七郎次に言う。「今度もまた、負け戦だったな」。アニメの最終話の題名は、この場面に向けて置かれているように読める。勝ったのは誰か。カンベエはそれを自分たちだとは数えない。解讀[3]
ははは、題名を並べたか。お前さんらしい読み方じゃ。俺が映画を勧めたのは、あの田植えの場面を見せたかったからよ。
……先生のお勧めがなければ、二周目の題名を並べることも、しなかったと思います。
二周目は第一話の最初の数分を止めて観る。斬艦刀に刻まれた文字を、最後まで覚えておく。