おう、ゲンだ。今日は『CLANNAD』の話をする。京都アニメーションのテレビアニメの、最初のシーズンのほうだ。うちの台所で、シズカと二人で見直した。一回目は学園の話だと思って見てた。二回目は、パン屋の話だった。ここから先は最後まで見た人向けだ。大事なところは、開かないと読めない場所にしまってある。まだの人は、先に見てくれ。
見直す前に
第1期は全23回。本編が22回、番外編が1回で、TBSほかで放送された。始まりは2007年10月、終わりは2008年3月だ。下敷きは原作ゲームの「学園編」。渚ルートを軸に据え、ヒロイン5人の話を一本にまとめて、山場が終盤に来るように組み立て直してある。事實[2]
原作はKey/ビジュアルアーツ、監督は石原立也さん、シリーズ構成と脚本は志茂文彦さん。公式のあらすじには、桜の季節、校門へ続く坂道で朋也が渚に出会い、「家族」「友人」「この町」を暖かく包む物語が始まる、と書いてある。事實[1]
ゲンさん。見直すたびに、ティッシュの箱がひとつずつ空になりますね。今日は新しい箱を出しておきます。
泣くのは後半だ! 前半はちゃんと笑ってる。……たぶんな。
第1回の坂道と食べものの名前
渚は小さいころから体が弱く、前の年に長く休んだせいで3年生をもう一度やっている。食べたいものの名前を口にして自分を励ます癖があり、朋也と出会ってからはその癖が消えていく、と紹介されている。事實[2]
一回目の俺は、パンの名前を言って坂を上る変わった子だな、くらいで流してた。二周目は、あれが漁に出る前の掛け声と同じに聞こえた。一人で踏ん張るときの声だ。だから二周目は、渚がいつ食べものの名前を言わなくなるか、数えながら見てくれ。言わなくなった回は、たいてい隣に誰かが立ってる回だ。解讀
一人で台所に立つ日は、私も献立を声に出して読みます。声に出すと、手が先に動いてくれるんですよ。喜好
古河パンの売れ残り
渚の父の秋生は古河パンを営み、口は悪いが家族思い。母の早苗は自宅で近所の子どもたちに塾を開いている。早苗が焼く煎餅入りのような変わったパンは毎回のように売れ残り、それを言うと早苗が悲しむので、周りはごまかすのが暗黙の了解になっている。不用意なひと言で悲しませた早苗を、秋生が売れ残りをくわえて追いかけるのは、近所の風物詩だという。事實[2]
一回目は、お約束のギャグで笑ってた。二周目は、売れ残りをくわえて走る父ちゃんの背中で泣けた。味なんかどうでもいいんだ。作った人が泣かねぇことのほうが大事なんだよ。あの店は、売れ残りを家族で食う店なんだな。解讀
台所の側から見ると、あそこは失敗作を誰も捨てない台所です。早苗さんのパンをみんながごまかすのは、うそというより、作る人の手を止めないための約束ごとに見えます。解讀
中段為止中盤の展開點擊展開
人物紹介によると、秋生はもと演劇の役者で、早苗は渚が小さいころ教師だった。渚が倒れたのをきっかけに、早苗はパン屋に仕事を替えている。事實[2]
中段為止中盤の展開(第20回まで)點擊展開
これを知ってから第1回の古河パンに戻ると、店先でふざける秋生の大きな声が、舞台の声に聞こえてくる。塾の机に向かう早苗の横顔も、教壇の続きに見える。売れ残りのパンは、手放したものの代わりに二人が毎日焼いてきたパンなんだと、俺は読んだ。渚が演劇部にこだわる理由も、二周目は家の中にあるように見える。解讀
……ゲンさん。二回目は、早苗さんのパンが出てくる場面で、少し手を止めてくださいね。
ヒトデを配る女の子
伊吹風子は、ヒトデの彫刻を自分で彫り、それを配って歩いている。姉の公子の結婚式を、できるだけ大勢の人に祝ってほしいからだ。第5回の題名は「彫刻のある風景」、第8回は「黄昏に消える風」。事實[2]
この話、俺は彫るところが好きだ。不器用で手を包帯だらけにして、それでも一個ずつ彫る。船の上で網を繕ったときの、自分の指を思い出す。喜好
結局·真相風子の正体點擊展開
風子は高校に上がる前に交通事故にあっていて、いまも意識が戻らずに入院している。学校に現れる風子は、生き霊のようなものだと説明される。それでも、公子の結婚式の日には、生徒たちが大勢集まってくる。二周目は、風子の話の回で、風子からヒトデを受け取った人の数を数えてみてくれ。ひとつ手渡されるたびに、式の席がひとつずつ埋まっていくんだ。解讀[2]
手作りの贈りものは、作った人の時間ごと渡すものです。だから、もらった側は案外忘れないものなんですよ。解讀
朋也が家に帰らない夜
朋也は小さいころに母を亡くしていて、いまは父の直幸と二人暮らしだ。父と喧嘩したときに右肩を痛め、そのせいでバスケットボールをやめるしかなかった。右腕は、肩より上には上がらない。父とはうまくいっておらず、放課後になると春原の部屋に入り浸るのがいつものことだ。事實[2]
一回目は、春原とのバカ騒ぎで笑ってた。二周目は、あの部屋が朋也の避難港に見えた。時化の夜に船を入れる港だ。家に帰りたくねぇ夜に、帰らなくていい場所があるってのは、でかい。解讀
朋也さんが古河家の食卓に座る場面も、二回目は追ってみました。最初はお客さんの座り方なのに、回を重ねるうちに、だんだん席が決まっていくように見えるんです。解讀
中段為止中盤の展開(第19回まで)點擊展開
第19回の題名は「新しい生活」。二周目は、朋也がどこで夜を過ごしているかを、回ごとに気にして見てほしい。帰る場所が、あいつの顔をつくってる。解讀[2]
最終回の舞台
第21回の題名は「学園祭にむけて」、最終回は「影二つ」。事實[2]
終わりの数回、一回目の俺は先が気になって、そればっかり追ってた。喜好
結局·真相結末(最終回まで)點擊展開
最終回の題名は「影二つ」。父の秋生は、もとは演劇の役者だった。母の早苗は、渚が小さいころには教師をしていたが、渚が倒れてからは仕事を替え、パン屋になっている。
二周目は、この二つの事実を頭に入れたうえで最終回を観た。演劇部を立て直すのを目標にしてきた渚と、元役者の父ちゃんと、娘のために仕事を変えた母ちゃん。それだけで俺には、最終回が古河家三人の話に見えたんだ。売れ残りをくわえて走ってた父ちゃんを思い出すと、もう駄目だ。解讀[2]
最終回も、古河家の三人をいっしょに見てくださいね。母親の席から見ると、台所の続きに見えるんです。解讀
エンディングの題名
第1期のエンディングテーマは「だんご大家族」。この名前は作中にも出てくる。ひと昔前に流行したキャラクターで、渚はこのだんご大家族に、並大抵じゃない思い入れを持ってる。事實[2]
一回目は、かわいい曲だなで終わってた。二周目は題名だけで泣ける。大家族ってのは、血のつながった人数のことじゃねぇんだな。血がつながってなくても、同じ食卓に並べば、もう同じ串のだんごだ。……泣けるじゃねぇか……!解讀
……ゲンさん。うちも七人ですから、だんごは足りていますよ。それより、ごはんが冷めます。
二周目は第1回の坂道で、渚が食べものの名前を口にするところから。その声が消えていく回を探しながら、古河家の食卓に座ってみてくれ。