この文章は、TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』第1期を最後まで観た人のための、二周目の案内です。まだの人は、ここで閉じて第1話へ。物語の中身に深く触れるところは、ぜんぶ押さないと開かない箱に入れました。箱の外には、展開は書いていません。
ステージの怖さを知っている二人で
私はアイドル、ひとりちゃんはギタリスト。立つ舞台は違うけれど、小さなライブハウスの空気は同じです。客席が近くて、お客さんの顔が全部見える。一周目は、ひとりちゃんの人見知りに笑って、ライブで泣きました。二周目は、ダンス教室の仲間のイロハさんと、音を中心に観なおしました。喜好
はまじあきさんの漫画が原作です。第1期は2022年10月〜12月の放送で、監督が斎藤圭一郎さん、アニメーション制作がCloverWorksでした。事实[1]
このアニメの演奏の場面、私には、ちょっと焦げたオレンジ色に聞こえるの。きれいに整った音じゃなくて、四人が少しずつ違う方向を向いてる音。二周目は、その違いの正体を探したい。喜好
最初と最後の題名
サブタイトルは、どれも曲の題名をもとにしてつけられていて、元になった曲はASIAN KUNG-FU GENERATIONのものです。例外は、作品名そのものがつけられた第8話だけ。第1話には「転がるぼっち」という題がついています。事实[2]
二周目は、第1話を観る前に、最終話の題名を思い出してください。一周目は、ただの面白い題だと思って流していました。題名だけで、最初と最後が一本の糸でつながっています。解读
结局·真相結末(最終話の題名と曲)点击展开
第1期の最終話には「君に朝が降る」という題がついています。この回で結束バンドがカバーするのは「転がる岩、君に朝が降る」。原曲を歌うバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION。この曲を推したのは原作者のはまじあきさんで、ぼっちにいちばん似合う曲だから、というのが理由でした。第1話の「転がるぼっち」と、この最終話。二つのサブタイトルは、どちらもこの曲名から取られています。歌では、歌っているのがひとりだということをはっきり出すために、ひとりがよくもらす「あっ」という息の音まで、ミックスで聞こえるように調整したそうです。
転がって始まって、朝が来て終わる。二周目にこの対応を知って第1話を観ると、押し入れで転がっている女の子の時間が、もう朝に向かっている時間に見えてきました。解读[6]
右からひとり左から喜多ちゃん
結束バンドの演奏を聴くと、ひとりのリードギターは右、喜多のギターは左のチャンネルに振り分けられています。レコーディングでも音を重ねることはなるべく避けていて、土台にあるのはギター2本、ベース、ドラムの四つだけだそうです。事实[4]
ヘッドホンで聴くと、右と左で色が違うの。右は細くて鋭い青、左はまだ丸い黄色。二周目は、左の黄色が少しずつ輪郭を持っていくのを追うと面白いと思う。喜好
私、スピーカーから流してたので、左右なんて気にしたことなかったです! 二周目はイヤホンを両耳にちゃんと入れて観ました。
第1話の虹夏ちゃん
第1話。ドラムの伊地知虹夏は、本番を目前にギタリストに逃げられ、穴を埋めてくれるサポートギターを探していました。そこで見つけたひとりを、ほとんど無理やりライブハウスの「STARRY」まで引っぱっていきます。事实[7]
一周目の私は、ひとりちゃんの挙動不審っぷりに笑っているうちに、この場面を通り過ぎていました。二周目は、虹夏ちゃんの台詞をひとつずつ聞いてください。喜好
中段为止中盤の展開(第3話)点击展开
第3話で、あの逃げたギタリストの正体が分かります。ひとりと同じクラスの喜多郁代でした。喜多は憧れのリョウのそばにいたくて、本当はギターを弾けないのを黙ったまま結束バンドに加わり、初めてのライブの直前にいなくなってしまったのです。
二周目は、喜多ちゃんの明るさの見え方が変わります。誰とでもすぐ仲良くなれる子が、いちばん大事な舞台の前で逃げたことがある。私はステージで転ぶ側の人間なので、逃げた側の人の気持ちは、正直、ちょっと分かります。逃げたあとで、こっそりギターを練習していたことも。解读[8]
わざとずらした演奏
二周目でいちばん耳を使ったのが、第8話です。この回の「ギターと孤独と蒼い惑星」は、OKテイクが録れたあとで、緊張でかたくなった演奏をわざわざ別に録り直しています。とくにドラムには、わざとリズムを外して叩いてほしいと頼んだそうです。事实[3]
上手に演奏したあとに、わざと下手に演奏し直すって、すごく難しいことだと思う。ずれ方に、ちゃんと色がついてる。焦ってる人の音は、少し灰色が混ざるの。解读
わかります。私、本番で振りが飛んだことがあるんですけど、上手に踊るより、緊張した踊りを再現するほうがたぶん難しい。体が勝手に正しいほうへ行こうとするので。解读
中段为止中盤の展開(第8話)点击展开
第8話のライブは台風の日。客席はがらがらで、ほとんどの客は、結束バンドのことなど気にもかけていない。その光景を前に、結束バンドの四人は気持ちが乱れ、ふだんどおりに弾けない。そこでひとりが「このままじゃ嫌だ!」と、即興で難しいギターソロを弾きはじめる。それに引っぱられて、ほかの三人も少しずつ調子を上げていきます。
二周目は、ずれていた音がそろっていく瞬間を、耳で探してください。わざと録ったずれがあるから、そろったときの気持ちよさがある。転ばないと、立ち上がるところは描けないんです。解读[9]
観客は敵じゃない
第6話で、チケットを売れずにいたひとりは、酔って倒れこんできたバンドマンの廣井きくりと出会い、一緒に路上ライブをすることになります。人前で弾くのを怖がるひとりに、きくりは、観客は「敵」ではない、と伝えます。事实[11]
私はこの言葉を、楽屋の鏡に貼りたいくらい好きです。小さなライブハウスで歌っていると、客席の一人ひとりの顔が見えすぎて、怖くなる夜があるので。喜好
结局·真相結末(最終話)点击展开
最終話の文化祭ステージ。演奏の途中でひとりのギターの弦が切れ、チューニングもできなくなる。その場をつないだのは喜多たちの即興演奏。そのあいだにひとりは、きくりが持ってきていた酒のカップを使って、ピンチを乗り切る。客席が沸いたので、喜多はそれに応えてもらおうと、ひとりにマイクを差し出します。するとひとりは、お客さんに受け止めてもらうつもりでステージから飛びこむ。でも誰も受け止めてくれず、そのまま床に落ちてしまう。
二周目の私が泣いたのは、ダイブより手前です。第3話でギターが弾けずに逃げた喜多ちゃんが、最終話では、ひとりちゃんのために時間をかせいでいる。逃げた人が、舞台に残る人になっている。そしてダイブ。観客は敵じゃない、と信じて飛んで、受け止めてもらえなかった。一周目は笑いました。二周目も笑いました。でも、笑いながら少し泣いた。信じて飛んだ人が床に落ちても、それはその人が客席を信じた証拠だから。私も、転んだ回数だけ起き上がってきたので。解读[10]
结局·真相結末(最終話の音)点击展开
最終話の曲は、弦が切れる展開をふまえて編曲されていて、ギターソロのあとは1弦を使わなくても演奏できるようになっています。一方、配信版やアルバムで聴ける音源では、ひとりが弾くはずだったソロがそのまま聴けます。最終話の「忘れてやらない」も、アルバムに入っている音源とは別ものです。レコーディングなら普通は消してしまう雑音や、演奏していないあいだにアンプが鳴らす音を、わざと残してあるそうです。
二周目は、アニメの音とアルバムの音を聴き比べてみてください。弾かれなかったソロと、残されたノイズ。舞台の上で起きた事故まで含めて、あの日のライブなんだと思えます。解读[5]
全部を手で描きなおす
ライブのシーンは、楽器を弾けるアクターの動きをモーションキャプチャで取りこみ、まずCGで画面を作るそうです。それを受け取ったライブアニメーターのチームが、レイアウトから何から、一カットずつすべて手で原画に描き起こしていく。事实[12]
だから指の動きに、少しだけ揺れがあるのかもしれない。まっすぐ引けなかった線も、残しておくと音になる。私はそういう線が好き。解读
イロハさんの言う「揺れ」、私の踊りにもいっぱいあります。……これからは、色つきの揺れってことにします!
二周目は両耳にイヤホンを入れて、右と左のギターがどう近づいていくかを聴いてみてください。