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二周目

『たまこラブストーリー』二度目は糸の音を聞く

一度目は、商店街の色とお餅の白さに見とれていた。二度目は、窓と窓をつなぐ一本の糸と、そこを通る声ばかり気になった。言葉が届くまでの距離を、音で測り直すノート。ネタバレは畳んであります。

本文含有直到结局的剧透

范围映画『たまこラブストーリー』の結末まで(本編すべて。TVシリーズ『たまこまーけっと』の設定にも少し触れます)

这是写给看完作品、想在二周目看得更有趣的人的文章。中段展开与结局、真相的细节都折叠起来,点击才会显示。

适合这样的人
『たまこラブストーリー』を最後まで観た人へ。二度目は、糸と声と水の音から観直したい人に。
剧透范围
会提及结局 映画『たまこラブストーリー』の結末まで(本編すべて。TVシリーズ『たまこまーけっと』の設定にも少し触れます)
发言的人
Iroha × Kanon
主张的种类: 事实 作品中的观察 有依据的推测 解读 喜好
目录 共 7 节·约 6 分钟
  1. 二周目を始める前に
  2. 窓と窓のあいだの糸
  3. 鼻歌の行き先
  4. みどりのため息
  5. 川の水の音
  6. ファインダーの向こう
  7. 最後の数分の手元

映画『たまこラブストーリー』を観直しました。一度目は、うさぎ山商店街の色の多さに目を奪われて、気づいたら終わっていました。二度目は、耳を先に開けておくことにします。糸電話、鼻歌、水の音。声がどうやって相手に届くのかを追いかけると、同じ場面が少し違う温度で聞こえてきました。結末にふれるところは畳んであります。まだ観ていない人は、開かずにおいてください。

二周目を始める前に

山田尚子さんが監督を、吉田玲子さんが脚本を手がけたアニメーション映画で、公開日は2014年4月26日です。主人公は餅屋の娘、北白川たまこ。彼女と幼なじみの大路もち蔵は、どちらも高校3年生で、その二人の恋の行方が描かれます。テレビシリーズから続く話ではありますが、この映画だけを観ても楽しめるように作られたそうです。この映画は新人賞も手にしています。贈ったのは文化庁メディア芸術祭で、18回目のアニメーション部門でした。事实[1]

Kanon

イロハさん、今回は私が隣で観るんですね。恋の話なら、よかろう、任せるがよい……じゃなくて、任せてください!

Iroha

カノンちゃんには、たまこのバトンの手元を見ていてほしい。私はたぶん、また音ばかり聞いてしまうから。

窓と窓のあいだの糸

通りを挟んで向かい合う二つの窓。もち蔵は自分の部屋から、たまこの部屋の窓に糸電話を放って、それで話をすることがあります。声を出せば直接届くくらい近いのに、です。事实[1]

一度目、私はこの糸電話を、仲のいい幼なじみの小道具くらいに受け取っていました。二度目は、紙コップに口を寄せるときの間を聞いてください。声を出す前に、ほんの少し息を吸う。届くまでに糸が震える時間がある。この映画は、その一拍を何度も画面に置いているように見えます。解读

中段为止中盤で明かされること点击展开

糸電話について、テレビシリーズのたまこは、窓越しにしゃべる二人を見たもち蔵の母・道子がすすめてくれたと話していました。ところが映画では別の事情が明かされます。悲しんでいるたまこを放っておけなかったもち蔵が、母親の道子に頼んで用意してもらったものだったのです。

二度目にこれを知ってから最初の窓の場面に戻ると、あの糸は、遊び道具ではなく、昔の励ましの名残に見えてきます。もち蔵が糸の向こうに投げてきたのは、ずっと同じ気持ちだったのかもしれない。私はそう受け取りました。解读[1]

鼻歌の行き先

たまこがよく口ずさんでいる鼻歌は、父の豆大と母ひなこにとって思い出の曲です。映画のオープニングに流れる「KOI NO UTA」は、豆大が学生のころ組んでいたバンドの「恋の歌」の、別のバージョンという設定。エンディングの前半で流れる「こいのうた」は、それをたまこがカバーしたという設定です。本編の途中でも、一部が歌われます。事实[1]

二度目は、同じ旋律が誰の声で、どんな楽器で鳴っているかを数えてみてください。父の世代の音として始まった曲が、最後には娘の声になる。私は、一本の曲がこの映画の中で持ち主を変えていく流れを、手渡しのように聞きました。解读

Kanon

親の歌を自分の声で歌うのって、ちょっと照れますよね。私なら、絶対に音程を半分くらい変えちゃう。喜好

みどりのため息

たまこの親友、常盤みどり。テレビシリーズの時点で、たまこへの気持ちは幼なじみの域を超えている、と紹介されていました。映画のみどりは、たまこともち蔵の関係に複雑な思いを抱えつつ、それでも二人の背中を押す姿が描かれます。事实[1]

中段为止中盤の展開点击展开

みどりは、もち蔵に今日じゅうに気持ちを伝えると約束させます。そのあと、晴れない顔でため息をもらし、自己嫌悪とひとりごとのようにつぶやく。

一度目の私は、この場面の画面のきれいさに気を取られて、みどりの声の低さを聞き逃していました。二度目は、みどりが誰かを急かす場面のたびに、そのあとの息の音を聞いてください。背中を押す声と、自分に向けたため息が、同じ人の口から続けて出てくる。カノンちゃんは、ここで黙ってしまいました。解读[1]

Kanon

応援してる顔で、自分のことは後回しにしてる。……みどりさん、かっこいいけど、ちょっとずるいくらい優しいです。解读

川の水の音

中段为止告白の場面点击展开

もち蔵が告白するのは、夕方の下校途中の河原です。たまこが転びそうになったところを、腕をつかんで引き上げ、その腕を離さないまま告白する。たまこのほうは動揺して腕を離してしまい、川に落ちて、びしょ濡れのまま走り去っていきます。

二度目は、告白の言葉よりも、そのあとの水の音を聞いてみてください。大事な言葉の直後に鳴るのが、言葉ではなく水の音だというのが、私はこの映画らしいと思いました。言葉が受け止められなかった瞬間を、台詞ではなく音で鳴らしている。解读[1]

ファインダーの向こう

映画研究会に入っているもち蔵は、3年生になって進路を考える時期を迎え、東京にある大学の映像科へ進むと決めます。それと同じころ、たまこに自分の気持ちを打ち明けようとも心に決めます。事实[1]

二度目は、もち蔵がカメラを構えている場面で、何が画面の中心に置かれているかを見てください。撮っている対象と、撮っている本人の気持ちが、同じ方向を向いている。一度目は、ただの部活の場面だと思っていました。二度目の私には、言えないことをレンズに預けている人の手つきに見えました。たまこのほうは、そのレンズの向きに気づいていない。その片道の視線が、窓と窓のあいだの糸と同じ形をしています。解读

Kanon

撮られてるのに気づかないの、たまこさんらしいです。私なら、カメラ見つけた瞬間にポーズ決めちゃうのに。喜好

最後の数分の手元

结局·真相結末点击展开

みどりは、もち蔵が東京へ転校することになり朝の新幹線で発ってしまう、と嘘を言ってたまこを焦らせます。たまこは駅へ急ぎます。ホームでは、もち蔵がちょうど乗りこむところ。たまこは大声で彼を呼び止めます。借りていた糸電話を投げ渡そうとしたのに、うっかり両方の端を投げてしまう。もち蔵が片方を投げ返すと、たまこはそれを両手で受け止めます。自分でもちゃんと取れたことに驚きながら、たまこは糸電話を通して返事をします。

ここで最初の窓の場面を思い出してください。糸電話は、ずっと、もち蔵の側から投げられてきたものでした。最後にたまこが投げる側に回る。しかも上手には投げられない。その不器用さごと返事になっているところが、私はいちばん好きです。返事の終わりに、糸電話で話すときの合図の言葉をつけるのも、二人が窓越しに積み重ねてきた時間の音に聞こえました。解读[1]

Kanon

両方投げちゃうの、わかります。緊張すると、手が先に全部出しちゃうんですよね。私も本番でマイク二本持ったことあります。喜好

Iroha

それ、ちょっと見てみたかった。

二度目は、最初に糸電話が窓から窓へ飛ぶ場面で、声が出る前の一拍を聞いてみて。最後の数分で、その一拍の意味が変わります。

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