TVアニメ『スーパーカブ』を最後まで観た人のための、二周目の案内です。まだ観ていない人は、ここで戻って第1話からどうぞ。展開に触れるところは、押さないと開かない箱に入れました。箱の外では、物語の行方は書きません。今回は、この作品が6選に入っているナギさんと観直しました。
一周目の僕は何も起きないと思っていた
白状すると、一周目の僕は少し退屈していました。バイクのアニメなのに、速く走らない。勝負もない。原付で通学して、お弁当を食べて、帰る。二周目を観ようと思ったのは、ナギさんに「あれは色を観るアニメだよ」と言われたからです。喜好
二回目に、画面の明るさが違う日があるなって気づいたの。喜好
心が動いたときだけ色が濃くなる
テレビアニメ版の画面は、全編を通して色が控えめです。鮮やかさが少しだけ上がるのは、主人公の小熊の気持ちが動いた場面。カブを手に入れたことから、灰色の毎日を送っていた小熊の暮らしに、少しずつ色が戻っていく。その様子を、色の加減で表しているそうです。事实[1]
これを知ってから観る二周目は、まったく別のアニメでした。小熊はほとんど表情を変えません。でも画面の色が、彼女の代わりに答えている。二周目は、色が少し濃くなった瞬間に一時停止して、その直前に何があったかを確かめてみてください。僕は第1話だけで、何度も止めました。解读
気持ちをモノローグで語ってしまう場面は、各話の始まりと最後のシーンだけに限られています。事实[1]
つまり各話の真ん中は、ほとんど言葉で説明されない。色と、間と、音で観る作品なんです。一周目に退屈に感じた静けさは、観る人に任された時間でした。有依据的推测
朝の支度を見比べる
公式サイトの第1話のあらすじは、一日の始まりから書かれています。朝に目を覚まして、朝ごはんを食べ終え、お弁当の用意をして家を出る。事实[2]
第3話のあらすじの始まりはこうです。エンジンをかけて、ヘルメットをかぶり、グローブをつける。そして朝の8時を過ぎたころに家を出る。事实[6]
二周目にいちばんおすすめしたいのが、この二つの朝を続けて観ることです。家を出るまでの手順が、増えている。エンジン、ヘルメット、グローブ。僕にとっては、乗る前の準備がいちばん大事な時間です。小熊の朝に手順が一つずつ増えていくのは、彼女の毎日に乗り手としての時間が加わった印に見えます。解读
小熊、お弁当は毎朝ちゃんと用意してるよね。私はそっちを見てた。喜好
……僕は、グローブをはめる手元ばかり見ていました。同じ朝でも、観る場所が違いますね。
バイク屋さんの手
北杜市でバイク屋を営んでいるシノさんは、中古のスーパーカブ50を1万円で小熊に売った人です。そのあとも、オイルやタイヤを交換するやり方を小熊に教えています。ヘルメットとグローブも、キャンペーンだと言って小熊にプレゼントしました。事实[3]
二周目の僕は、シノさんの場面だけで一本の作品が観られるくらい好きになりました。乗り手を黙って支えるメカニックに、僕は弱いんです。売って終わりにしない。整備のやり方も教える。ヘルメットとグローブも渡す。安全の道具を手渡す大人がいることが、この作品のいちばん信頼できるところだと思います。僕にタイヤの磨き方を教えてくれたカート屋のおじさんを思い出しました。喜好
公式サイトの第4話のあらすじには、小熊が運搬の仕事の前日に、オイル交換のために再びシノさんの店を訪ねることが書かれています。事实[7]
本物のエンジンの音
カブのエンジン音も、ギアを変えるときの機械の音も、本物のカブで録った音です。事实[1]
二周目は、ギアを変える場面で耳を澄ませてください。カチッという手応えと、回転が落ちて、また上がる音。音楽の流れない場面も多いので、エンジンの音がよく聞こえます。……あ、すみません。この音の話は、ナギさんにはつまらないですよね。喜好
ううん、いいよ。ハヤテくんがそうやって話すと、次に観るとき私も耳を澄ませると思う。
礼子の整備
礼子は自分のカブをいじりはじめると、食べることも寝ることも忘れてしまいます。整備をして試しに走り終えると、抜け殻みたいになっていることもよくあるそうです。事实[4]
中段为止中盤の展開(第5話まで)点击展开
公式の第5話のあらすじでは、小熊が礼子の家に呼ばれ、そこで傷だらけの礼子のカブを見ます。夏休みのあいだ「近くて遠い場所」へ行っていたのだと、礼子は話しはじめる。
一周目の僕は、礼子の挑戦の話として観ていました。二周目は、傷だらけのカブが部屋にある場面から観直すと、小熊が何に驚いているかがよくわかります。壊れたことより、壊れるまで走った人がいること。そして礼子が、それを整え直す時間まで含めて楽しんでいること。僕には、小熊がここで「乗る」だけでなく「整える」側の楽しさを知りはじめたように見えました。
最初の曲と最後の曲
各話にはクラシック音楽が使われています。第1話はドビュッシーの「アラベスク第1番」と「月の光」、第12話はエルガーの「愛の挨拶」です。事实[5]
二周目に、第1話と第12話の曲を聴き比べてみてください。どちらも静かな曲ですが、僕には最後の曲のほうが、誰かに向けて話しかけているように聞こえます。それが何を意味するのかは、畳んだ中で書きます。解读
结局·真相結末(第10話〜第12話)点击展开
冬の場面が過ぎ、公式の第11話のあらすじでは、椎が小熊に、この冷たく暗い冬をどこかへやってほしいと頼み、小熊はそれはできないと答えます。第12話になると、三人は遠くで咲く桜を見に行こうと計画を練り、まだ早い朝に北杜市を出発します。
一周目の僕は、最終話を「三人の旅」として観ました。二周目は、ここまでの準備がすべてこの朝のためにあったように見えます。防寒の工夫、整備、オイル交換、エンジン、ヘルメット、グローブ。冬を消すことはできない。でも、冬の中を走る準備はできる。小熊が椎に返した「できない」は、断りの言葉ではなく、自分たちのやり方で春に行く、という答えの始まりだったのだと思います。
第1話でひとりで朝ごはんを食べていた人が、最後の朝は三人で北杜市を出る。色の濃さを追ってきた二周目なら、この朝の画面がどう見えるか、ぜひ確かめてください。
第12話の「愛の挨拶」は、僕には、ひとりで聴く曲から、誰かに向けて弾く曲に変わった印に聞こえました。第1話の曲を覚えてから最終話を観ると、その違いがよくわかります。
二周目の観方メモ
僕の二周目のやり方は三つです。一つめ、色が少し濃くなったら止めて、直前に何があったかを見る。二つめ、第1話と第3話の朝を続けて観る。三つめ、シノさんの店の場面は、手元から目を離さない。それから、観終わってバイクに乗るときは、ヘルメットとグローブを忘れずに。準備は、走る楽しさの一部ですから。喜好
三周目は、私はお弁当とハヤテくんのグローブ、両方見るね。
二周目は、画面の色がほんの少し濃くなる瞬間を探してください。主人公が何も言わないとき、色が代わりに答えています。