ガクです。今回はTVアニメ『Dr.STONE』第1期の二周目の話をします。第1期の最終話まで観た人向けで、展開の核心は畳んであります。一緒に観直したのはナギさん。僕がつい背景の知識を並べ始めると、「それ、知らなくても楽しめる?」と聞いてくれる人です。
二周目を始める前に
原作・稲垣理一郎さん、作画・Boichiさんによる漫画で、連載誌は『週刊少年ジャンプ』、期間は2017年から2022年まで。TVアニメの第1期は全24話で、2019年の7月から12月にかけて放送されました。アニメーション制作を担当したのはトムス・エンタテインメントです。範囲は、原作のプロローグから第二部のはじめのほうまでです。事实[1]
始まりは、地球上の人類がひとり残らず、いきなり石に変わってしまう出来事です。目を覚ますと、自分たちが生きていた時代から3700年ほどが過ぎていた。人類のいなくなったその世界で、千空は自分の手で文明をもう一度築くと心に決めます。事实[1]
ガクさん、これ、文明の歴史を知らなくても楽しめる?
楽しめます。……と言いながら、僕は一周目、出てくる道具ごとに人類史の年表を思い浮かべていました。二周目はそれをやめて、人の手元と顔だけ見ることにしたんです。そうしたら、別の作品みたいに見えた。喜好
第1話は誰の目で始まるか
第1話で物語の目線を担うのは、主人公の千空ではありません。幼なじみの大樹です。石の中で五感をなくした大樹は、杠を想う気持ちひとつを支えに、長い長い年月をこらえて目を覚まします。いっぽう千空は、石になっているあいだも秒を数え続けて日付をつかんでおり、目覚めたのは大樹より半年ほど早かったのです。事实[1]
一周目の僕は、千空の「数えていた」という事実にばかり感心していました。二周目は、同じ暗闇を二人がまったく違うやり方で越えたことのほうが気になります。片方は数え、片方は想い続けた。科学と気持ち、どちらか一つではこの物語は始まらない、と第1話の時点で言われているように読めます。解读
私だったら、たぶん寝ちゃう。数えるのも想うのも、どっちも途中で。喜好
それがふつうですよ。だから二周目は、第1話の大樹の顔を、ちょっとだけ長く見てあげてください。喜好
地道という言葉
千空の持論は「科学は地道な探求」。杠は手芸部にいて、信条は「手芸は根気」です。目立たない、同じことの繰り返しの作業でも、投げ出さずにこつこつ続けられる人です。事实[1]
二周目は、作業の場面の時間の使い方を見てください。何かが完成する瞬間より、同じ動きをくり返す場面のほうが、意外なほど丁寧に描かれていると僕は感じました。食堂の洗い場と同じで、誰かが同じ皿を何百回も洗っているから、次の客に料理が出る。解读
中段为止序盤の展開(千空の夢)点击展开
司に頸椎を折られ、千空は倒れます。そのとき千空が意識の奥で見ていたのは、最初に目覚めてからの日々の夢でした。石器、道具、炎、食料、服、住居。こつこつと、一つずつ順に手にしてきた日々です。千空の首筋には石化の跡が残っていました。石化が解けると傷も治る、という仮説に、千空は自分の命を賭けていたのです。事实[1]
畳んだ中を知ってから序盤に戻ると、千空が一人で積み上げた順番そのものが、この作品の目次に見えてきます。二周目は、千空の首のあたりにも少しだけ目をやってみてください。解读
楽園を望んだ青年
獅子王司にとって、石の世界はまだ何にも汚されていない楽園です。だから彼は、純粋な若者に限って復活させ、自然と共に生きていこうとします。事实[1]
中段为止司の過去点击展开
司が「大人」を嫌うわけは、子どものころにあります。妹は死にかけていて、司はせめてきれいなものを持って帰ろうと、海岸の貝殻に手をのばしました。そこへ来たのが、漁業権を持つ大人です。泥棒だと決めつけ、司に言い分を言わせることもなく、ひどい折檻をしました。アニメ版は、この過去を回想の場面として新しく付け加えています。事实[1]
僕がいちばん考え込んだのはここです。漁業権そのものは、浜で暮らす人たちが資源を守るための決まりです。その正しい決まりが、説明する機会も与えずに一人の子どもを打ちのめした。だから司は、決まりを作る大人ごと世界を作り直そうとする。二周目の司は、悪役というより、制度に一度踏まれた人に見えます。解读
貝殻一つでそこまで……。でも、子どものころにそういうことがあったら、たぶん、ずっと覚えてる。解读
一杯のラーメンの値段
人手が欲しい千空は、村にたどり着くと、猫じゃらしからラーメンをこしらえます。それを村人にふるまい、代わりに働いてもらおうという作戦です。事实[1]
ここ、一周目からいちばん好き。湯気が立ってるだけで、みんなの顔がちょっとゆるむの。喜好
僕は二周目、ここを「給料日」の場面として観ていました。お金のない村に、最初の賃金が生まれる瞬間です。食べものは、いちばん古くて、いちばん分かりやすい支払いなんですよ。解读
給料って言われると、急においしくなさそう。……でも、働いたあとの一杯って考えたら、分かる。喜好
二周目は、ラーメンを受け取る村人の手と、器を返すときの手を比べて見てください。よそ者の千空と村のあいだに、言葉より先に取り決めができていく様子が見えます。解读
語りの声と村の言葉
第1期のナレーションは藤原啓治さんが担当しています。そして千空の父、石神百夜の声も、第1期では藤原啓治さんです。第17話の題名は「百の夜と千の空」です。事实[1]
中段为止第1期の終盤(村の始まり)点击展开
病が治ったルリは、千空に村の始祖の物語を語ります。始祖は、千空の育ての父である宇宙飛行士の石神百夜。宇宙にいたおかげで石化をまぬがれ、この村を開いたのでした。始祖の遺志は千空を支えることにあったのだと、村人たちも知ることになります。設定では、百夜は百物語をはじめ英語で作ろうとしてうまくいかず、仲間に勧められて日本語で作ったとされています。そして子孫たちは日本語を使っています。事实[1]
これを知ってから第1話に戻ると、物語を外から見守っていたあの語りの声が、ずっと同じ人の声だったことに気づきます。そして、3700年後の村の人たちと千空が、最初からふつうに言葉を交わせていたこと。一周目は都合のいい設定だと思って流していましたが、二周目は、それ自体が一人の父親の残した手紙のように見えました。解读
毎回の最後の一文
番組の終わりには、毎回注意書きが表示されます。物語はフィクションでも、出てくる動植物や物質、作り方などは本物にもとづいている。自分の判断で採ったり作ったりするのはとても危険なので、軽い気持ちでまねしてはいけない、という内容です。事实[1]
一周目は読み飛ばしていました。二周目は、これも作品の一部だと思って読みます。危ないことは危ないと書いたうえで、それでも作り方を見せる。知識を手渡すときの、大人の作法だと思います。喜好
ラーメンだけは、まねしてもいい?
それは、ちゃんと売っている麺でお願いします。
二周目は第1話の、石の中の暗闇の場面から。数える人と待つ人、二人の越え方を並べて観ると、そのあとの道具の一つひとつが、誰かの根気の結果に見えてきます。