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日常

佐倉の坂は鼻歌で登る

剧透范围 无剧透 『弱虫ペダル』は、主人公の紹介と、自転車競技部に入るきっかけまでの序盤の設定まで。レースの展開と結果には触れません

『弱虫ペダル』の高校がある千葉県佐倉市へ。坂を見るたび走り出すアカリ、坂の角度を手ぶりで測るハヤテ、二人のフォームを後ろから直したくて仕方がないミサ。アニメが少し苦手な先生が、鼻歌の話にだけ食いついた。

适合这样的人
坂道を見ると、つい走って登りたくなる人へ。走っている人のフォームを、つい直したくなる人にも。
发言的人
Akari × Hayate × Misa
圣地巡礼 千葉県佐倉市(京成佐倉駅から坂の多い町を歩き、佐倉城址公園まで) 十月の日曜、朝から午後まで

朝九時半。京成佐倉駅の改札の前で、アカリは竹刀袋を背負っていなかった。かわりに、小さなリュックを一つ。隣ではハヤテが、駅の案内図を写真に撮っている。少し遅れて、背筋のまっすぐな女の人がヒールの低い靴で歩いてきた。

Misa

おはよう。アカリ、今日の準備は?

Akari

水と、おにぎり四つと、絆創膏。あと、読み返してきた。

Misa

よろしい。……そちらが、ハヤテくん?

Hayate

は、はい。ハヤテです。今日は、よろしくお願いします。

Misa

いい立ち方。でも、あごをあと一センチ引くと、もっといいわよ。

ハヤテは言われたとおりにあごを引いて、そのまま固まった。アカリが横で「先生、会って十秒で直すのやめて」と小声で言った。

旅を言い出したのはアカリだった。ハヤテとは、同じ空手教室の、途中でやめた先輩と今の生徒という間柄だ。弱虫ペダルの話になったとき、二人とも好きだと分かって、「舞台の町に行こう」とアカリが決めた。昼間の旅でも、未成年だけで遠出はしないこと。それで、ダンス教室の先生のミサが付き添いを引き受けた。

Akari

主人公の坂道の高校、総北高校は、千葉県の佐倉市にある設定なの。校舎は小高い山の奥にあるんだって。[1]

Hayate

佐倉市は、台地と、台地が削られてできた谷が入り組んでいる地形なんです。だから、坂が多いんだと思います。[2]

Misa

坂の多い町に、坂道という名前の子。分かりやすいわね。

Akari

坂道は、アニメもゲームも漫画も大好きで、秋葉原がとにかく好きな子なの。小学生のころから、秋葉原まで自転車で通ってた。[1]

Misa

ここから秋葉原まで、自転車で?

Hayate

高校の裏の急な坂だって、鼻歌まじりに平気で登ってしまうんです。しかも、ママチャリで。[1]

Misa

鼻歌?

ミサの目が、急に真剣になった。アニメの話になるといつも口数の減る先生が、初めて身を乗り出した。

Misa

リズムがあるから登れるのよ、それ。踊りと同じ。息と足が同じ拍で動いてる。

Akari

先生、それ、作品のいちばん大事なところかも。

Misa

あら。じゃあ私、少しだけアニメが分かったのかしら。

駅を離れると、すぐに上り坂になった。アカリの足が速くなる。三歩目で、もう走っていた。

Misa

アカリ、歩道から出ない!

Akari

出てない!

坂の上で振り返ったアカリは、息ひとつ乱れていなかった。ハヤテは坂の途中で立ち止まり、手のひらを斜めにして角度を測るしぐさをした。

Hayate

……カートなら、ここは二速です。

Akari

自転車の話してよ。

Hayate

自転車は、エンジンが自分なので。……僕にはいちばん難しい乗り物です。

道路の向こうから、ロードバイクの一団が下りてきた。ハヤテはさっと二人の前に出て、腕で歩道の内側を示した。一団は速度を落として、三人の横を通りすぎていった。

Hayate

坂の下りでは、自転車はすごく速くなります。道の写真を撮るときも、車道の側には立たないほうがいいです。

Misa

頼もしいわね。……アカリ、今の聞いた?

Akari

聞いた。……ハヤテくん、それで空手やめたの、もったいなかったね。

Hayate

えっ。

Akari

いや、責めてない。人をかばう動きが、速かったから。……カートが続いてるなら、いいじゃん。

坂の途中に、学校の門が見えた。日曜の校庭では、部活の生徒たちの声がしていた。アカリはスマートフォンを出しかけて、ポケットに戻した。

Akari

学校は、撮らない。中の人の学校だもん。私の学校の前で知らない人がずっと撮ってたら、やだし。

Misa

そうね。敷地には入らない、生徒さんは写さない。舞台を訪ねるのは、そこに暮らしてる人の毎日にお邪魔することよ。

Hayate

……サーキットのピットも、同じです。見せてもらう場所は、働いている人の場所なので。

昼前、三人は佐倉城址公園に着いた。城の跡に広がる公園で、木々のあいだを風が抜けていく。芝生の端のベンチで、アカリはリュックからおにぎりを四つ出した。

Akari

一人一個と、私がもう一個。

Misa

計算が合ってるのが、えらいわ。

Misa

それで、二人はこの作品のどこが好きなの。先生にも分かるように言って。

Akari

仲間とライバル。一人じゃ勝てないところに、ちゃんと仲間がいるの。でも、仲間に甘えてるだけでもない。

Hayate

僕は……自転車の手入れの場面が出てくるたびに、止めて見てしまいます。走る前の時間のほうが、好きなのかもしれません。

Misa

走る前の時間。舞台の袖と同じね。幕が開く前に、全員の衣装の背中のファスナーを確かめて回るの、私。

Akari

先生、本番の日はいちばん早く来るもんね。

Misa

いちばん早く来て、いちばん前の席で見るの。息子の発表会でも、そうだったわ。

Hayate

……僕の大会にも、いつも作業着のまま来てくれる人がいます。隣の家の人なんですけど。

Misa

あら。……その人、丁寧すぎる敬語で話す人じゃない?

Hayate

え、はい。どうして分かったんですか。

Misa

なんとなく、よ。

ミサはそれ以上言わずに、水筒のお茶を一口飲んだ。アカリは二人の顔を見比べて首をかしげ、四つ目のおにぎりに手を伸ばした。

食べ終わると、ミサは立ち上がり、芝生の上で軽く足をそろえた。

Misa

さっきの鼻歌の話。二人とも、ちょっと立って。歩きながら、何か口ずさんでみて。

Hayate

えっ、ここで、ですか。

Misa

人のいない端っこでね。大きな声じゃなくていいの。

アカリは迷わず、好きなアニメの主題歌を小さく口ずさみながら、芝生の端の緩い坂を上った。ハヤテは真っ赤になって、口を閉じたまま、ほとんど息だけで拍をとった。

Misa

ほら。ハヤテくん、さっきより足が軽い。息を止めて登ってたのよ、あなた。

Hayate

……本当だ。カートでも、コーナーで息を止めてるって、言われたことがあります。

Misa

あなたなら、もっとできるわよ。息を止めない練習から。

Akari

先生、私には?

Misa

アカリは、速すぎ。坂の途中で一回、景色を見なさい。

Akari

……それ、ナギさんにも言われた。

午後の帰り道、アカリは坂を走らなかった。途中で一度だけ立ち止まり、振り返って、さっき歩いてきた町の屋根を見た。ハヤテは、その横で小さく息を吐きながら登った。ミサは二人の少し後ろを歩きながら、二人の足が同じ拍で動いていることに気づいて、何も言わずに口もとをゆるめた。

Akari

次は、自転車で来たい。もちろん、ちゃんと安全なとこで。

Hayate

そのときは、ヘルメットの話から始めます。

Misa

で、準備は?

Akari

おにぎり、五つ。

坂の上で、三人はまた歩き出した。ハヤテは小さく息を吐きながら、つま先で拍をとっていた。アカリがそれに気づいて、同じ拍で足を鳴らした。ミサは二人の少し後ろを歩きながら、自分の背すじを、そっと一センチだけ伸ばした。

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讲述者 Akari 坚守自己原则的Jump派 阅读更多 Akari 的文章 →

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