竜山さん、お茶が入りましたよ。今日は『サマーウォーズ』を一緒に観直した話をします。最後まで観た方に向けた二周目の案内です。中盤から先の話は、開かないと読めない箱にしまってあります。箱の外では、物語の中ほどより先には触れません。まだの方は、どうか先に映画を。
観直す前の手がかり
『サマーウォーズ』は細田守さんが監督を務めたマッドハウス制作のアニメ映画で、2009年8月1日に公開されました。脚本は奥寺佐渡子さんです。事实[1]
この作品のテーマは、大家族の絆です。細田さんはここで、結婚と親戚付き合いを真ん中に置いて描いた、と紹介されています。物語の中心となる陣内家には、細田さんの奥さまの親類というモデルがいるそうです。事实[2]
親戚付き合いが主役の映画か。わしは一周目、画面の中の派手な戦のほうばかり観ておったがのう。喜好
私もです。というより、一周目の中身はほとんど忘れていて。だから今回は、最初から台所の側に座って観ることにしました。喜好
最初の夕食の座敷
陣内家に来たばかりの主人公・健二には、大勢の親戚が一つの食卓を囲む光景に圧倒されて、つい戸惑ってしまう場面がある、と紹介されています。家ではほとんど一人で過ごしてきたからです。お父さんは海外に単身赴任していて、お母さんは仕事が忙しいのです。事实[3]
一周目の私は、健二くんと一緒に驚いていました。二周目は、驚いている健二くんの後ろを見てください。あれだけの人数の食卓なら、誰かが料理を運び、空いた器を下げているはずです。座敷がにぎやかなほど、その奥の台所は忙しいんです。解读
栄の長女の万理子さんは、お盆やお正月に親族が集まると、女性陣のまとめ役をつとめる人とされています。事实[4]
二周目の見どころ、一つ目です。座敷で誰かが話しているとき、画面の端で手を動かしている人を探してみてください。親戚の集まりは、取り仕切る人がいて初めて回ります。あの家の夏は、あの方たちの段取りの上に乗っているんですね。解读
人を励ます大おばあさま
曾祖母の栄は、陣内家の16代目の当主です。この家は戦国時代から続いています。栄はもと教師で、政界にも財界にも広い人脈があり、教え子や古い友人たちを励ましたりして、仮想世界OZの不具合で起きた混乱を鎮めるのに大きく力を尽くした、とされています。事实[4]
画面の中の世界が乱れておるときに、大おばあさまは声で人を立て直しておる。わしは二周目、あの場面で背筋が伸びたわい。解读
二つ目の見どころは、そこです。困っている人に、何と声をかけているか。叱ったり、励ましたり、頼みごとをしたり。言葉の選び方が、相手によって全部違って聞こえました。私の祖母も、ああいう話し方をする人でした。解读
古い家の作法
紹介によると、陣内家は武家の家柄で、戦国時代から続いているそうです。もとは武田氏に仕えていた家で、主家の武田氏が滅んでからは上田へ移り、真田の家臣となって、郷土の守りについてきたらしい、とされています。事实[9]
奥方の実家も古い家じゃったな。あの座敷の上座と下座、奥方の目にはどう映る。
懐かしいです。私の実家でも、親戚が集まると、座る場所で誰がどういう立場かが分かりました。二周目は、席の並びを見てみてください。誰が上座にいて、誰が台所に近い端にいるか。それだけで、あの家の形が見えてきます。解读
ははは、座る場所は家の地図じゃからのう。わしの道場でも、稽古のあとの茶の席で、だれがどこに座るかで、その日の稽古の出来が分かるもんじゃ。喜好
花札を誰が教えたか
陣内家の一族はみんな、栄から花札を教わっている、という設定があります。事实[5]
一周目は、ただの夏の遊びに見えていました。二周目は、この家で花札がどう受け継がれているかを気にしながら観てください。誰と誰が札を囲んでいるか、という場面が、何度か出てきます。作品中的观察
中段为止中盤の展開点击展开
ある夜、栄は一族の見ている前で薙刀を振り回し、侘助を家から追い出します。そのすぐあと、健二に介抱を頼み、花札のこいこいの勝負に誘って、自分が勝ったら夏希を頼む、と言います。作中で生きている栄が見られるのは、これが最後です。翌朝、栄は持病の狭心症のため、誕生日を目前にした7月31日に亡くなります。事实[5]
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竜山さんは、薙刀の場面で「武家の家じゃのう」と小さく笑っていました。私は、その直後の花札のほうに胸がつまりました。叱ったあとに、すぐ手元の札を配る。家の長というのは、叱りっぱなしにしないものなんですね。それから二周目は、この夜の健二くんの手つきを見てください。最初の夕食で戸惑っていた人が、この夜は当主と札を囲んでいます。解读
座敷と台所のあいだ
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栄が亡くなると、陣内家の女の人たちは葬儀の支度に取りかかります。そのかたわらで、健二と、名乗りを上げた男性陣は、ラブマシーンを倒す準備を始めます。栄の敵を討つため、そしてこれ以上被害を広げないためです。万助が考えた作戦は上田合戦の戦い方に倣ったもので、敵をわざと招き入れ、門を一気に閉じて囲んでしまうというものでした。ところが翔太が、栄のご遺体を冷やそうとして、コンピューターを冷やしていた氷を大量に持ち出してしまうのです。事实[6]
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ここが三つ目の見どころです。一周目の私は、翔太さんを責めていました。二周目は、同じ屋根の下で、戦の支度と弔いの支度が同時に進んでいることに気づきました。氷は一つしかないのに、使い道が二つある。どちらも、家族のための仕事なんです。竜山さんは「策は見事じゃが、弔いの段取りを策に入れとらんかった」と言いました。台所番の私も、同じことを思いました。解读
親戚の手元
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侘助は家を出ていきましたが、そのスマートフォンのパスワードは0108、栄の誕生日を英語で書いたときの数字でした。夏希がそれを解いて連絡を取り、栄が亡くなったことを伝えます。栄がもしものときに備えて書き残した手紙もありました。それがきっかけで侘助と陣内家は仲直りし、もう一度ひとつにまとまった、とされています。事实[7]
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四つ目の見どころです。追い出された人の手の中に、追い出した人の誕生日がずっと入っていた。一周目には、ただの謎解きに見えた数字でした。二周目は、侘助さんが画面に出るたび、手元の電話を見てしまいました。解读
結末の前に
结局·真相結末点击展开
最後の戦いで夏希がラブマシーンに挑むのは、栄に仕込まれた花札のこいこい勝負です。栄の葬儀は栄の誕生日に営まれ、遺影の前で、一族の何人かが誕生日の歌を歌います。事实[8]
结局·真相結末点击展开
夏の遊びとして教えられた札が、最後には一族の手の中で道具になる。毎年の集まりで繰り返してきたことは、いざというときに体が覚えているんですね。お葬式の日に誕生日の歌が聞こえる場面で、私はやっと泣けました。弔いとお祝いを、同じ座敷で同じ人たちがやる。大家族というのは、そういう器なのだと思います。解读
奥方、わしは今日、この映画を戦の話ではなく、段取りの話として観直したわい。ええ二周目じゃった。喜好
まずは、ごはんにしましょう。今夜は大皿で出しますね。
二周目は、最初の夕食の座敷で、画面の端で器を運んでいる人を探してください。