『ヒナまつり』アニメ版の二周目の話。最終話まで観た人向け。各話の展開は押すまで開かない箱に入れた。聞き手はナギ。今日は頑張れない日同士で、私の部屋で観た。ナギがあったかいお茶を持ってきてくれた。
二周目を始める前に
TVアニメは全12話で、2018年の4月から6月にかけて放送された。アニメーション制作はfeel.で、監督と絵コンテは及川啓。全話の脚本を書いたのはシリーズ構成の大知慶一郎で、全話の絵コンテは及川が受け持った。事实[1]
原作の空気感を再現する。そのために監督の及川がとった方針は、間とテンポに常にこだわることで、脚本、絵コンテ、演出、アフレコ、編集、ダビングと、どのセクションでもそうしたという。事实[2]
間って、笑うところの前の、ちょっと静かなところ?
そう。この作品、ボケの前に一回ちゃんと黙る。黙ってる時間に、ヒナの無表情が効いてくる。二周目は笑う前に、その無音を味わって。解读
第1話の最初の場面
第1話の冒頭は、3年後のマオの話になっている。タイトルを知らずに観る人にも、続きが見たいと思ってもらうためだ。事实[3]
一周目の私は、なんでいきなり知らない子が出てくるのか分からなくて、正直そこも倍速で流した。二周目は、ここを等速で観てほしい。この場面、ちゃんとどこかにつながってる。有依据的推测
结局·真相結末(最終話)点击展开
第1話冒頭のマオの場面は、最終話のBパートにつながるように構成されている。最終話のエンディングテーマ「初めてのキモチ」はマオが歌っている。
つまりこのアニメは、最後に行きつく場所を最初に見せてから始まってる。一周目は、出オチのような導入にしか見えない。二周目に観ると、全12話がずっとこの場面に向かって歩いてたことになる。一人で無人島にいた子が、そこにたどり着くまでの遠回り。私はこういう、先に結果を置いてから黙って過程を見せる作りに弱い。解读[3]
オープニングの片隅
原作の表紙にならって、オープニング映像のヒナはいつもイクラ丼を持っている。ただ、イクラを全部のカットに入れるのは難しかった。詩子が代わりに入ったのは、そのほかのカットだ。事实[4]
中段为止回を追うと分かること点击展开
回を重ねるにつれて、オープニングとエンディングから詩子が消えていく。そういう演出が取られている。
二周目、私はオープニングを飛ばさなかった。いつもは飛ばす派なのに、このアニメだけは毎回観た。片隅のバーのママが、回ごとにいなくなっていく。誰も説明しない。気づいた人だけが笑う。解读[4]
ずっと見てないと気づけないやつだ。毎週一話ずつ観てた人のほうが、気づきやすかったのかな。有依据的推测
言うことを聞かない子と面倒見のいい大人
ヒナは未来から飛ばされてここに来た女の子だ。前にいた組織で、その力は大人たちの都合のいいように使われてきた。だから、超能力を利用しようとはしない新田のことを、ヒナはだんだん信頼していく。新田は几帳面で面倒見がいい。実家でも、ぐうたらな母と妹の代わりに家事をしていた。事实[5]
ヤクザが良い人だった、っていう話にしたら私は乗れない。新田は普通にろくでもない稼ぎ方をしてる。でも、子どもの力を自分のために使わない、っていう一点だけは曲げない。私が見たいのは、全部が正しい大人じゃなくて、その一点を曲げない大人。解读
中段为止中盤の展開(第4話)点击展开
第4話の題名は「勘当ロックンロールフィーバー」。新田に勘当されたヒナに、路上で稼ぐやり方を教えるのは、路上演奏をしていたバンドCENTRAL PARKだ。
二周目の私は、ヒナが追い出されたあと、部屋にいる新田の顔ばかり見てた。授業参観に来てくれないと拗ねる、そういう普通の親子みたいな関係になるのはこの先。その前に一度、ちゃんと離れてる。解读[5]
ごはんを出す人たち
第3話の題名は「ホームレス生活入門編」、第7話は「看板娘アンズ始めました」。事实[1]
中段为止中盤の展開(第3話・第7話のあたり)点击展开
アンズは、もともとヒナを処分しに来た子だ。それが戻る手段を失って、ホームレスとして暮らす羽目になる。やっさんたちに教わったのは、生き抜くための知恵。そこから少しずつ、人とのつながりやお金の大切さもわかっていく。即興で歌ったアンズの歌は、その場でシゲさんの心を揺さぶる。やがてアンズを引き取るのは、中華料理店「来々軒」の林夫妻。紹介したのは詩子だ。見返りなしで人から何かをもらうと、アンズはどうしても強く抵抗してしまう。そうなったのは、生い立ちのせいだ。
二周目の私は、アンズが何かを受け取る場面で、顔ばかり見てた。もらうことに慣れてない子が、少しずつ受け取れるようになるまでの話にも見えた。解读[6]
アンズの回は、ごはんの場面が全部あったかいんだよね。もらう練習をしてるみたいで、ちょっと泣いちゃう。喜好
いや、泣いていい。あれは泣かせにきてる。……あと、詩子のことも言わせて。
詩子には、弱い立場の人にやさしいところがある。商店街の人たちと炊き出しのボランティアをしたり、ホームレスを公園から退去させることに反対して動いたり。そのくせ、お金にがめつい面も目立つ。事实[6]
ろくでもない大人ばかりなのに、居場所のない子にはちゃんとごはんと寝床が出てくる。誰か一人が立派なんじゃなくて、だらしない大人が少しずつ手を出して、結果的に子どもが食べられてる。私はこの作品のそこを、ずっと信用してる。解读
作り手が選んだ回
絶対に入れたいエピソードを、まず原作者の大武が挙げた。続いて監督の及川も、入れたいエピソードを出した。シナリオはそのうえで作られている。事实[7]
中段为止中盤の展開(第9話)点击展开
及川が挙げたのは第9話で、マオの無人島の回。転送されて着いた先が、なぜか東南アジアの無人島だった。しかも転送装置までなくして、マオはサバイバル生活に陥る。話し相手は、ヒナとアンズを模して自分で作った人形。話しかけて、返事も自分でする。無人島にいたころは、そうやってさみしさを紛らわせていた。
一周目は、本筋から外れた一人芝居の回だと思って笑ってた。二周目は笑いながら、ちょっと黙る。第1話の冒頭にいた子が、どれだけ長く一人だったのか。私は、人形に話しかける声の調子を、最後の場面と並べて聴いた。解读[7]
一人のときに、いない人の分まで返事しちゃうの、ちょっと分かる。喜好
いちばん痛いところでのお約束
痛いときに登場人物が「あいったー」と言う。これがこのアニメのお約束で、及川の監督作に取り入れられるギャグの一つだそうだ。事实[3]
二周目は、この一言が出る場面を数えてみて。本当に痛そうな場面ほど、軽い一言で流してくれる。痛みを大げさにしない優しさだと、私は読んでる。解读
観終わったら、イクラ丼……は無理だから、卵かけごはんにしよう。
いい。それでいい。高級かどうか、ヒナも区別ついてないし。
二周目は第1話の最初の数分を等速で。知らない子の話から始まる理由は、全12話を観た人にだけ分かる。