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四本目は、細田守監督の映画『サマーウォーズ』。クロの仕事に近い話でもある。騒ぎがどこから来たのか、どう収まるのかは書いていない。
長野の大家族と世界の危機
公式サイトのイントロダクションは、こう紹介してる。キャラクターデザインの貞本義行さんや脚本の奥寺佐渡子さんといった、『時をかける少女』の作り手たちがもう一度集まって作った作品。ひょんなことから田舎の大家族の一員になった少年が、いきなり世界を襲った危機に立ち向かっていく話だ、って。公開は2009年8月1日。事实[1]
最初に観たときの感想は、うるさい。いい意味で。親戚がとにかく多い。誰が誰の何なのか、途中まで本気で分からなかった。俺の部屋は静かだから、あの家の音量に圧倒された。ご飯の場面で全員が同時にしゃべってるの、何回観ても笑う。喜好
好きな理由1:数学で戦う主人公
キャラクター紹介によると、主人公の小磯健二の特技は数学。でも数学オリンピックでは、日本代表を決める選考で負けてしまい、代表に選ばれなかったことをずっと悔やんでいる。事实[2]
ここ、ちょっと刺さる。俺も数学オリンピックに出たことがある。結果の話はしない。ただ、問題を解くのとゲームの仕組みを読むのが同じ遊びだったころの感覚は、健二の目の動きでよみがえる。数字の並びを見た瞬間に、手が勝手に動き出す感じ。あれは本当にある。喜好
好きな理由2:部屋の中のチャンピオン
好きなキャラは池沢佳主馬。公式の紹介だと、ふだんは部屋にこもってばかりの、ちょっと暗いオタク少年に見える。けど本当は、格闘ネットゲームで世界チャンピオンになってる腕前。電脳世界に入れば、「格闘王キングカズマ」を使いこなす達人だ。喜好[3]
親戚が集まる家の中で、一人だけ部屋にこもってる。でも画面の向こうでは、誰より強い。大人たちには分からない場所で、ちゃんと戦ってる。分かる。めちゃくちゃ分かる。外から見て暗いやつが、画面の中ではいちばん前に立ってることもある。俺はこの子が画面の前に座るたびに、ちょっと背筋が伸びる。解读
好きな理由3:最後に効くのは人
公式のイントロダクションでは、陣内家の当主・栄が、一家でカタをつけると号令をかける。それを受けて、健二と夏希、そして陣内家のみんなが力を合わせて、世界の危機に挑む、とある。事实[1]
俺の仕事はセキュリティ。技術で守る仕事。でも現場で本当に効くのは、技術だけじゃない。誰がどこで何をしてるか、すぐに声をかけられる関係があるかどうか。電話一本で動いてくれる人が何人いるか。この映画は、それを大家族の夏休みで見せてくる。技術の話をしてるのに、いちばん強いのが手をつなぐことなのが、悔しいくらい正しい。解读
……少しよろしいですか。会社で、ある事件があったとき、私が最初にしたのは、知っている人に順番に電話をかけることでした。技術のことは分からなくても、人をつなぐことだけはできた。この映画を観ると、あのときのことを思い出します。
(猫のスタンプ)……あのときの初動、正しかった。電話の順番も。それだけ言っとく。
好きな理由4:内気な主人公の夏
公式のキャラクター紹介だと、健二は物理部の部員。引っ込み思案で内気な、理科系の男子だ。事实[2]
その内気な主人公が、いきなり知らない大家族の真ん中に放りこまれる。親戚の前でしどろもどろになって、ご飯の席で縮こまる。分かる。俺なら初日で帰る。というか、そもそも行かない。でも健二は帰らない。苦手な場所にいながら、自分にできることを探し始める。そこがこの映画のいちばん好きなところかもしれない。喜好
人と話すのが苦手でも、計算が得意なら、それで役に立てる場面がある。全員が同じ戦い方をしなくていい。家族の中に一人、内気なやつがいても、ちゃんと居場所はある。そういう夏の家だから、何回でも観たくなる。解读
俺の見方:守る技術の物語
技術が人を傷つける側じゃなく、守る側に回る話を、俺はずっと探してる。この映画は、その一本。画面の向こうの大騒ぎに、画面のこっちの人たちが、それぞれ自分にできることで立ち向かう。計算でも、電話でも、ゲームでも。戦い方は人の数だけある。そこが好き。解读
まだ観ていない人へ
親戚の名前は、最初は覚えなくていい。顔と声で、なんとなく分かってくる。夏の昼間に観るのがおすすめ。暑い日に、扇風機の前で。観終わったら、ちょっとだけ家族か友達に連絡したくなるかもしれない。そうなったら、俺の勝ち。あと、二回目に観るときは、背景の家の中を見てほしい。廊下、縁側、台所。大家族が暮らしてきた時間が、家の隅々に積もってる。画面の向こうの仮想世界と、この古い家の対比が、俺はたまらなく好き。
ほかの好きな作品とのつながり
『ペルソナ5』で後ろの席を見つけて、この映画で、前に出る人と後ろで支える人が一緒に戦う形を見た。『NieR:Automata』は、同じ出来事を別の目で見直す話。どの作品も、見る側と見られる側が入れかわる。俺の好きな作品の芯は、そこにある気がする。喜好
どんなに技術が強くても、最後に効くのは、すぐ電話できる人がいること。