6選の最後は『マッハGoGoGo』です。僕が生まれるずっと前の作品です。隣の家のタカシさんに教わって観ました。古いのに、マシンの見せ方がいま観てもかっこいいんです。表彰台に立っていたころ、何度も観た作品です。
表彰台のころ
小学校の高学年から中学にかけて、カートの全国大会やジュニアの選手権で、何度か表彰台に立ちました。観客席にはいつも、作業着のままのタカシさんがいました。仕事を抜けてきてくれていたんだと思います。ある日、「古いけれど、よかったら」とDVDを貸してくれたのが、この作品でした。表彰台の上から観客席を見ると、作業着の色はよく目立ちました。結果がよくなかった日も、タカシさんは同じ場所にいて、帰りに「今日のコーナー、きれいでした」とだけ言ってくれました。喜好
タツノコプロの作品ページには、30分のTVシリーズで全52話、1967年4月から1968年3月まで放映されたと書かれています。事实[1]
同じページの紹介によると、少年レーサーの三船剛が、7つの特殊な機能を積んだレーシングカー・マッハ号で、世界中の大地を走り抜けていく物語です。事实[1]
好きな理由1:マシンの見せ方
マッハ号が画面に出てくるときの角度が好きです。低いところから見上げたり、横から流したり。どこを見せればかっこいいかを分かっている作り方だと思います。カートを撮るとき、僕はいまでもこの角度を真似しています。低い位置からの見上げは、マシンを大きく、強く見せます。真横からの流しは、速さを見せます。見せたいものに合わせて、角度を選んでいるんだと思います。解读
好きな理由2:仕掛けのわくわく
マシンに特殊な機能がついていて、場面に合わせてそれを使う。子どものころは、それがとにかく楽しかった。いま観ると、道具をよく知って、使いどころを考えるという意味では、整備やセッティングの話にも見えます。使い方を間違えると危ないのは、どの道具も同じです。僕も新しい部品を試すときは、まずコースの中で、少しずつ確かめます。解读
好きな理由3:古い音の勢い
主題歌と、エンジンの音の勢い。録音は古いのに、なぜか気持ちが前に出ていきます。大会の朝、移動の車の中で頭の中に流していたことがあります。古い音には、いまの音にはないざらつきがあって、それがエンジンの振動みたいに感じられるんです。レースの前の緊張が、少しだけ楽しみに変わる音です。喜好
あのDVDは、私が若いころに好きだった作品なんです。ハヤテくんに合うかどうか、実は少し心配していました。
合いました。返すのが遅くなってすみませんでした。何度も観ていたので。
それなら、うれしいです。……今度の大会も、よかったら私が……いえ、また応援しすぎるところでした。
ありがとうございます。自分で走りたいので。でも観客席に作業着が見えると、落ち着きます。
マシンを支える人たち
この作品を観るとき、僕はマッハ号の仕掛けそのものより、その仕掛けを用意した人のことを考えてしまいます。七つもの機能を、どうやって一台に収めたんだろう。走る前に、誰がどこを点検しているんだろう。画面に映らない時間のほうに、つい想像が行くんです。解读
僕のカートを整備してくれたのは、カート屋のおじさんでした。タカシさんは観客席から、おじさんはピットから。走っているのは僕一人でも、僕の後ろには、いつも二つの手があったんだと思います。喜好
古いレースアニメを観ていると、機械が運転する時代のことも少し考えます。マッハ号には、いまの目で見ると夢のような機能がたくさんあります。でも、どの機能を、いつ使うかを決めるのは乗り手です。機械が賢くなっても、使いどころを決める人の腕は残る。この作品は、なんとなくそう言ってくれている気がします。解读
苦手そうな人への入口
古い絵柄に慣れないうちは、話の筋より、マシンの登場の仕方とスピードの描き方だけを見るのがおすすめです。一話ずつ区切りがいいので、気になった回だけつまみ食いしても楽しめます。昔の作品を一話ずつ観る会にするのも楽しいと思います。僕はDVDを返すとき、タカシさんに好きな回の話を少しだけしました。最初の一話で合わなくても、三話くらいまでは観てみてください。目が慣れると、昔の絵ならではの勢いが、急に気持ちよくなってきます。
ほかの6選とのつながり
寄り道の町を描いた『カーズ』とは、ひとりの時間を明るくしてくれた作品として並んでいます。それと『capeta』。どちらも、速さの後ろに誰かの手がある話です。この作品の場合、その手は隣の家から伸びてきました。それから、『頭文字D』と同じで、この作品も道で真似をするための話ではありません。速さを競うのは、サーキットです。古い作品を、隣の家の人から手渡しで教わる。そういう出会い方ができたのは、ありがたいことでした。喜好
古い作品は、誰かが手渡してくれると近くなる。マシンが登場する角度から観てみてください。