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今日、ちょっと遅れてる気がしてる人はいる? まわりがどんどん先に行って、自分だけ足踏みしてる感じ。そういう日にこそ開きたい漫画があります。僕の6選の四本目は『宇宙兄弟』。第1巻の導入より先の展開には触れません。
小学生の僕が背伸びして読んだ本
出会ったのは小学校の高学年。家の本棚にあった大人向けの漫画を、こっそり一冊抜いて読んだのが最初です。正直、仕事の話や大人の事情は半分くらいしかわからなかった。でも、主人公の兄ちゃんが、とにかく格好悪くて、とにかく面白い。それだけで続きが読みたくなって、毎晩少しずつ読み進めました。喜好
講談社のモーニング公式サイトでは、作者は小山宙哉さんと紹介されています。事实[1]
同じページの著者紹介によると、『宇宙兄弟』は作者にとって初めての週刊連載だそうです。事实[4]
作品紹介に書かれている物語の出だしはこうです。弟の南波日々人がメンバーに入った月面長期滞在クルーを、NASAが発表する。ちょうどその頃、日本にいる兄の南波六太は、自動車会社で設計をしていた職を失う。まるで違う道を進んでいた兄弟が、幼い日に交わした一つの約束をきっかけに動き出そうとしている。事实[2]
好きな理由1:主人公が先を越された側にいる
僕がまずびっくりしたのは、主人公が「先を越された兄」だということ。夢に一直線に進んだのは弟のほうで、兄の六太は回り道の途中にいる。普通なら、物語は先頭を走る人を追いかけそうなものなのに、この漫画は、出遅れた人の背中にカメラを置くんです。解读
小学生の僕は、それがうれしかった。夢って、早く決めて、まっすぐ進んだ人のものだと思ってたから。でも六太を見ていると、道は一本じゃないし、寄り道した時間がなかったことにもならない。夢に向かう道が一つじゃないって、僕はこの漫画で初めて感じました。喜好
大人になって読み返すと、今度は別のところが刺さりました。仕事をなくした六太が、それでも自分の得意や、これまでに積み重ねてきた時間を手放さないところ。設計の仕事をしていた日々も、ちゃんと六太の一部として残っている。遠回りは、まわり道じゃなくて、荷物を増やす旅だったのかもしれないと思えたんです。解读
好きな理由2:心の中のひとり言がとにかく面白い
六太は、頭の中でずっとしゃべっている人です。かっこつけようとして失敗したり、自分で自分にツッコミを入れたり。真剣な場面のすぐ横に、くすっと笑えるひとり言のコマがある。そのおかげで、重たい話になりそうなところでも、読んでいる僕の肩の力が抜けるんです。作品中的观察
格好悪いところを隠さない主人公は、格好いいところも嘘にならない。ひとり言で散々ぼやいたあとに、黙って一歩を出す。その順番が、僕にはとても信用できました。強がりのない勇気って、こういう形をしてるんだと思います。解读
私、六太のひとり言、すごく好き。頑張ってる人の話って読むと疲れちゃうこともあるんだけど、六太は頑張りながら、ちゃんと「しんどい」って思ってるでしょう。そこで安心する。喜好
そっか。僕は「ぼやいたあとに進む」ところが好きなんだけど、ナギは「ぼやいてる」ところ自体が好きなんだ。
うん。進まない回があっても、六太なら許してくれそうな気がするんだよね。解读
それ、いいな。僕はつい「進む六太」を探しちゃうけど、ナギみたいに「立ち止まってる六太」を好きでいる読み方もあるんだね。次に読み返すときは、そっちも見てみる。
好きな理由3:誰かの小さな手助けが道になる
この漫画には、六太の背中をそっと押す大人や仲間がたくさん出てきます。大げさな励ましじゃなくて、ちょっとした一言や、さりげない準備。その小さな手助けが、気づくと六太の前に道をつくっている。主人公以外の人が物語を前に進める場面を探すのが僕の趣味なんですが、この作品は読み返すたびに新しい一人が見つかります。解读
それから、誰かが誰かのために食べものを用意したり、身の回りの支度を手伝ったりする場面。そういうのを見つけると、僕はページをめくる手が止まってしまう。宇宙の話なのに、いちばん心に残るのが台所みたいな場面だったりするのが、この漫画のいいところです。喜好
苦手そうな人への入口
長い物語なので、最初から全部読もうとすると身構えると思う。まずは第1巻だけで大丈夫です。宇宙や理科の知識はいりません。六太のひとり言に一回でも笑えたら、それがこの漫画との相性のサインだと思う。もし疲れている日なら、筋を追うより、兄弟が子どものころを思い出す場面を探しながらめくってもいい。
公式サイトのお知らせには、完結巻となる㊻巻が発売されたことが載っています。最後までそろっているので、自分のペースで、何年かけて読んでもいい作品になりました。事实[3]
アニメで観るなら
A-1 Picturesの作品紹介では、テレビアニメ『宇宙兄弟』は2012年4月の作品として載っています。監督は渡辺歩さん、制作はA-1 Pictures、製作はytvとA-1 Picturesです。事实[5]
読売テレビの番組サイトには、読売テレビ・日本テレビ系の全国ネットで、2014年3月22日に放送を終えたと記されています。事实[6]
六太のひとり言に声がつくと、ぼやきのテンポがそのまま笑いになる。漫画ではコマの隅でつぶやいていたことが、アニメでは間と一緒に届くんです。宇宙の場面が動いて見えるのも、小学生の僕だったら大喜びしたと思う。喜好
今日疲れているなら、アニメを一話だけ流して、六太が一回ぼやいたら止めてもいい。続きが気になったら、漫画で自分の速さに戻ればいい。どっちから入っても、遠回りしていいのがこの作品です。喜好
ほかの5本へつながっていく
『天元突破グレンラガン』で「最初の一歩」に惹かれた僕は、この漫画で「一歩目が遅くてもいい」と知りました。そのあとの『宇宙よりも遠い場所』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で、遠回りや寄り道まで大事にできるようになったのは、たぶん六太が先に笑ってくれていたからです。喜好
遠回りした時間はなかったことにはならない。ぼやきながらでも次の一歩は出せる。