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二周目

『新世界より』二周目は語り手の声から

一度目は、夏のキャンプから始まる少年少女の冒険と、そのあとに続く出来事に息を詰めていた。二度目は、この物語を誰が書き残したのかを頭に置いて、町の決まりごとを一つずつ確かめる。組織の話に詳しいタカシさんと、全25話を観直した。

本文含有直到结局的剧透

范围TVアニメ『新世界より』全25話の最終話まで(展開の核心と結末は畳んだ部分にだけ書きます)

这是写给看完作品、想在二周目看得更有趣的人的文章。中段展开与结局、真相的细节都折叠起来,点击才会显示。

适合这样的人
TVアニメ『新世界より』を最終話まで観た人へ。のどかな町の決まりごとが二周目にどう見えるか確かめたい人に。
剧透范围
会提及结局 TVアニメ『新世界より』全25話の最終話まで(展開の核心と結末は畳んだ部分にだけ書きます)
发言的人
Gaku × Takashi
主张的种类: 事实 作品中的观察 有依据的推测 解读 喜好
目录 共 7 节·约 7 分钟
  1. 誰が書いた物語か
  2. 貨幣のない町の決まりごと
  3. 誰かがいたはずの席
  4. 頭を下げる者たちの名前
  5. 赤い髪をおぼえておく
  6. 町を預かる人
  7. 題名に戻る

ガクです。今回はTVアニメ『新世界より』の二周目の話をします。最終話まで観た人向けです。展開の核心と結末は畳んであるので、まだの人はここで閉じてください。一緒に観直したのはタカシさん。組織と、それを率いる人の話になると目の色が変わる人です。

誰が書いた物語か

TVアニメは全25話で、2012年の9月から翌2013年の3月にかけて放送されました。監督は石浜真史さん、シリーズ構成は十川誠志さん、アニメーション制作はA-1 Picturesです。原作は貴志祐介さんの小説で、アニメはその内容をほとんどそのままなぞっていると紹介されています。事实[1]

この物語は、主人公の渡辺早季が書き残した手記として語られます。手記は三つの時期に分かれていて、それぞれ、早季たちが12歳のとき、14歳のとき、そして26歳のときの話です。アニメでナレーションを務める遠藤綾さんは、36歳の早季の声も担当しています。事实[1]

一周目の僕は、ナレーションを物語の外から聞こえる声として聞き流していました。二周目は、あの落ち着いた声を、すべてを見届けたあとの早季本人のものだと思って聞きます。すると第1話ののどかな語り口が、懐かしさだけではなく、言葉を慎重に選んでいる声に聞こえてくる。何を知っている人が、どこまでを子どもの自分に語らせているのか。二周目の最初の手がかりはそこです。解读

Takashi

結論を知っている人が、あとから最初の議題を書き起こしている。そういう議事録に近いですね。解读

Gaku

そうなんです。中学で生徒会の書記をしていたとき、僕も議事録はいつも会議が終わってから清書していました。最初の一行に、もう結論の影が落ちるんですよ。喜好

貨幣のない町の決まりごと

舞台となる神栖66町には、お金というものがありません。暮らしを支えているのは、助け合いと見返りを求めない奉仕です。町の内と外は、八丁標と呼ばれる注連縄で仕切られています。その外側へは絶対に出てはいけないと、子どもたちは言い聞かされている。事实[1]

一周目は、絵本のような田園の町に見えました。二周目、僕は町内会にたとえながら観ていました。会費も集めず、みんなが自分から手を貸す町内会があったとしたら、それはとてもいい町か、誰かが見えないところで帳尻を合わせている町か、どちらかです。解读

Takashi

決まりの理由を説明しない組織は、たいてい、説明すると困るものを抱えています。……私も昔、理由を言わずに部下に決まりだけ守らせて、あとで信頼をなくしたことがあります。解读

中段为止中盤までの展開(町のしくみ)点击展开

この町の平和を支えているのは、いくつもの締めつけです。幼いころから施される思想教育、厳しい情報統制、記憶の操作、そして不適格とみなされた者を早いうちに取り除くこと。子どもたちが噂していた猫の化け物も本当にいて、正体は品種改良された猫でした。「不要」とされた人間を、人知れず始末するためのものです。こうしたことを知っているのは、倫理委員会の議長をはじめ、町でもほんのわずかな人たちだけです。事实[1]

第2話の題名は「消えゆく子ら」です。事实[1]

二周目は、この題を頭に置いて第1話から観てください。教室の空いた席、名前が出なくなった子、大人が話を切り上げるときの間。一周目は背景だった小さな欠けが、二周目にはすべて同じ方向を指して見えます。解读

誰かがいたはずの席

14歳になった早季たちの班には、稲葉良という少年がいます。それでも早季は、どこか腑に落ちない。早季の覚えている相手は良ではなく、ほかの誰かだったのではないか、という感じが消えないのです。事实[1]

中段为止中盤の展開(14歳編)点击展开

班の仲間だった青沼瞬は、自分が「業魔」になったと早季に打ち明けて、命を落とします。呪力が異常にもれ出し、周りのものを知らぬ間に異形に変えてしまう存在です。事实[1]

二周目は、早季が誰かの名前を言いかけてやめる場面や、班の人数を数える場面で手を止めてみてください。手記の書き手は、この違和感の正体を知ったあとで、この部分を書いています。解读

頭を下げる者たちの名前

町の暮らしを支えているのは、バケネズミと呼ばれる生き物の働きです。バケネズミのコロニーのうち、人間に忠誠を誓ったところは、貢物と役務と引きかえに生き延びることを許されます。名前も人間がつけ、漢字の、それもたいていは虫偏の字です。塩屋虻コロニーのスクィーラは、人間の前でひどく卑屈にふるまう一匹で、のちに「野狐丸」という漢字の名をもらいます。事实[1]

Takashi

名前を与えるというのは、組織の中では、いちばん安上がりで、いちばん強い支配の道具です。誰が名づけて、誰が名づけられる側なのか。解读

Gaku

食堂で言えば、厨房の人が新しいアルバイトに勝手にあだ名をつけて、ずっとそれで呼ぶようなものですね。呼ばれる側は、なかなか断れない。解读

この世界の人間の遺伝子には、同じ人間を攻撃しようとすると作用する「愧死機構」が組み込まれていて、警告を無視して攻撃を続けると発作で死に至ります。事实[1]

结局·真相結末と正体点击展开

終わりも近くなって、覚は早季にある真実を明かします。遺伝子からバケネズミを調べて、わかったことでした。バケネズミは、ネズミが進化した生き物などではありません。もとは呪力を持たなかった人間で、それが変えられた姿だったのです。あの醜い見た目にも役割がありました。呪力を持つ人間が、バケネズミを仲間だと思わないようにすること。そして殺しても愧死機構がはたらかないようにすることです。反乱を率いたスクィーラは、報復裁判で無間地獄の刑を言い渡されました。事实[1]

畳んだ中の話を知ってから第1部に戻ると、バケネズミが人間の前でひれ伏す場面が、同じ絵なのにまるで違って見えます。二周目の僕は、スクィーラが頭を下げるたびに、その目線がどこを向いているかばかり見ていました。解读

赤い髪をおぼえておく

早季の幼なじみの秋月真理亜は、赤い髪の少女として紹介されています。事实[1]

一周目は、ただ印象に残る色でした。二周目は、この色が画面に出るたびに、少しだけ注意して観てください。解读

结局·真相結末と正体点击展开

終盤、バケネズミ側の切り札として町にやって来る子どもがいます。真理亜と守の子で、アニメ版では娘です。髪は真理亜と同じ赤。その子はバケネズミの手で育てられたので、自分のことをバケネズミだと思っていて、人間に対しては攻撃抑制も愧死機構もはたらきません。最後は、命を捨てた奇狼丸が人間に化けて、自分から姿をさらします。仲間のバケネズミを手にかけたその子は、愧死機構によって死ぬのです。事实[1]

Takashi

畳んだ中の話は、規則がどこまで人を縛れるかの話でもありますね。自分を何者だと思っているかで、同じ規則の効き方が変わる。組織に置き換えると、所属意識の話です。解读

町を預かる人

倫理委員会の議長、朝比奈富子は覚の祖母(正確には9代前の先祖)。早季のなかに、あとを継げる器を見ています。事实[1]

Takashi

二周目で私がいちばん長く観たのは、富子さんの場面です。説明しないことを選んだ指導者が、それでも後を継ぐ人を探している。秘密を守る組織ほど、後継者選びはむずかしい。……話がそれそうなので、ここで止めておきます。解读

Gaku

止めてくれて助かりました。僕も古い文明の話を始めるところでした。二人でやると、話がどんどん昔へさかのぼって戻ってこられなくなる。

二周目の富子の場面は、早季にかけた言葉より、言わずにおいた言葉を数えてみてください。何も説明されないまま選ばれていく早季の姿は、手記の書き手が自分自身をどう振り返っているかとも重なって見えます。解读

題名に戻る

題名は、ドヴォルザークの『交響曲第9番《新世界より》』に由来しています。そしてアニメの最終話の題名も「新世界より」です。事实[1]

结局·真相結末(最終話)点击展开

10年後、早季は覚と結婚し、子どもを宿しています。また新しい悪鬼や業魔が生まれるのではないかと恐れつつ、それでも未来に望みをかけて、早季は手記を書き終えます。事实[1]

一周目は、題名を遠い世界の名前だと思っていました。二周目は、それが手紙の差出人の欄のように見えます。新しい世界から、まだ見ぬ誰かへ宛てて書かれたもの。だから二周目は、第1話のナレーションの最初の一言を、手紙の書き出しとして聞いてみてください。解读

二周目は第1話の最初のナレーションから。あの声が誰のもので、どこまで知っている人の声なのかを思いながら聞くと、のどかな町がまるで違って見えます。

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